
「好きな日本人作家は村上春樹、カズオ・イシグロよ」

・エマ・ワトソンといえば映画「ハリー・ポッター」シリーズのヒロインを演じ、世界的な人気者に。
・今ではすっかり大人になり、演技の合間をぬって、米ブラウン大学を卒業、国連親善大使に選ばれ堂々演説もこなした。
・読書家で村上春樹の小説も読むという。
エマ・ワトソンといえば映画「ハリー・ポッター」シリーズのヒロインを演じ、世界的な人気者に。今ではすっかり大人になり、演技の合間をぬって、米ブラウン大学を卒業、国連親善大使に選ばれ堂々演説もこなした。読書家で村上春樹の小説も読むという。
──読書家でいらっしゃいますが、日本人の作家で好きな人はいますか?
「カズオ・イシグロ(英国籍)の大ファンよ。『日の名残り』がすごく好きなの。それから村上春樹の『ノルウェイの森』も好きだわ」
──「ハリー・ポッター」完結後、あなたもダニエル・ラドクリフも様々な映画に挑戦してきました。彼の成長ぶりをどう思いますか?
「ダンは俳優として本当に大きく成長したと思うわ。冒険的かつ大胆な役に挑戦し続けていて、本当に勇敢だと思う。ダンの映画の中では、ロマンチック・コメディーの『もしも君に恋したら。』が、とても気に入っているの。ゾーイ・カザンという相手役の俳優も素晴らしいと思うわ」
──あなたは「美女と野獣」ではミュージカルにも挑戦しました。新作「ザ・サークル」では、ガラリと役が変わり、あこがれのソーシャル・ネットワーキング企業に就職した主人公・メイを演じています。特に役を選ぶうえで大切にすることはありますか。
「確かに役選びはとても難しいわ。それに加え私は性格的に何もかも分析しすぎてしまうほうなの。だから役を引き受けるかどうか決心するのは、本当にストレスがたまるの。どの役もいろんな可能性があることを想像しすぎてしまって……。ただ年齢を重ねるうちに、以前より役選びは簡単になってきたと思う。自分のやりたいことがはっきりしてきたからなの。また自分にとって何が大切かもわかってきたし。最近は視野が明確になってきたの」
──この映画はソーシャル・ネットワークの世界がテーマですが、あなたにとってこの世界はどんな意味をもっていますか。
「自分の考えやアイデアを人と共有したり、それについてコミュニケーションするための一つの手段ではないかしら。とても中毒性が高いから、私は自分の日課の一部にならないように努めている。自分と距離を置くことを心がけているの」
──ファンとの写真撮影を断ったりして、SNSと心がけて距離を置く一方で、あなたはウェブ上にブック・クラブのページを公開したり、そこでファンとの交流もしているようですが、どのあたりに公私の境界線を引いているのですか?
「私がネット上でファンとシェアする内容は、シェアしても自分がいつも通りの生活を送るのに支障をきたさない範囲内、というふうに決めている。プライバシーが守れる範囲内ならOKなの。私が気楽にスーパーマーケットや友達のバースデーパーティーや家族の集まりに行くとか、そういった日常生活の大きな妨げになることなのかどうか、その辺が判断の基準になる。現在の私は、はっきりとノーが言えるようになった。若い時は、それができなくて、何に対してもイエスとばかり言っていた。でも気が付いたの。自分の人生を生きたいように生きるためには、プライバシーを守る必要があると。だから今ではそれについて、真剣に対処しているわ」
──誰もがスマホで何もかも写真に撮る時代になりました。あなた自身いろんな人からカメラを向けられてきたと思いますが、どう対処していますか?
「人はあまり深く考えずに写真を撮る。実は私もアフリカに行った時、目に映るものを写真に撮った。そしたら誰かに、写真を撮る前に撮っていいか尋ねるべきだと指摘されたの。そこで気が付いたの。私の写真を撮る人に、まず撮っていいか尋ねてほしいと感じている。なのに外国に行ったら私自身が、それと同じことを気が付かないうちにやっていたのよ。写真を撮るのがあまりにも簡単で、誰もがやっていることだから、公私の境界線に気が付かず、マナーを無視してしまうことが多い。テクノロジーとともに育った世代というのは、その境界線を知らずに育ってしまった。間違いを犯すことで、私たちは何かを学べればと思うわ」
──あなたの演じるメイは勤勉で努力家ですが、自分と共通点があると思いますか?
「いくつかあると思う。新しい環境に入って、その環境を知ろうと努力する面とか。ブラウン大学に入学した頃、新環境に置かれた私は、どうやって周囲に溶け込んでいいかわからずいろいろ努力した。その点に共通点を感じる。また人に好かれたいという願望があるあたりにも。20代初期の頃、私はあんな感じだった。人が自分のことをどう思うかすごく気になって、皆に好かれたい、人を喜ばせたいと思った。それをあまりに気にしすぎたがために、本当の自分を見失った。そんな一面も自分に共通していると思う」
──映画「ザ・サークル」の原作者であるデイヴ・エガーズ氏の本は読みましたか?
「『驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記』は読みました。私が読んだ本の中でも最高傑作に入る一冊で、すごく気に入った」
──今回の作品での大先輩トム・ハンクスとの初共演はいかがでしたか。どんなことを学びましたか。
「彼とはいろんな話をしたわ。なにしろ業界での経験が長いから、いろんな経験談が彼の口から聞けて勉強になった。俳優というのはとても難しい立場に立っている。自分ではどうにもならないことが多い。例えば脚本について意見が言えないし、編集に関わることもできず、撮影された自分の演技の中から好きな演技が選べるわけでもない。そんな環境の中でトムは俳優としての自分を望み通りに築き上げてきた。プロデュースも監督もする。彼は人の意見をオープンに聞き入れる姿勢を持っていると同時に、自分のやりたいことも明確で、それが自分にできると信じている。彼は自分らしさを持っていて、そんな自分らしいトムと一緒にいると、私も私らしい自分になれたの。一緒にいるだけで、自分の中から力が湧いてきたの」
──将来的にはあなたもプロデュースや監督をやってみたいですか?
「ええ、ぜひともやってみたいわ」
エマ・ワトソン「好きな日本人作家は村上春樹、カズオ・イシグロよ」 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
──読書家でいらっしゃいますが、日本人の作家で好きな人はいますか?
「カズオ・イシグロ(英国籍)の大ファンよ。『日の名残り』がすごく好きなの。それから村上春樹の『ノルウェイの森』も好きだわ」
──「ハリー・ポッター」完結後、あなたもダニエル・ラドクリフも様々な映画に挑戦してきました。彼の成長ぶりをどう思いますか?
「ダンは俳優として本当に大きく成長したと思うわ。冒険的かつ大胆な役に挑戦し続けていて、本当に勇敢だと思う。ダンの映画の中では、ロマンチック・コメディーの『もしも君に恋したら。』が、とても気に入っているの。ゾーイ・カザンという相手役の俳優も素晴らしいと思うわ」
──あなたは「美女と野獣」ではミュージカルにも挑戦しました。新作「ザ・サークル」では、ガラリと役が変わり、あこがれのソーシャル・ネットワーキング企業に就職した主人公・メイを演じています。特に役を選ぶうえで大切にすることはありますか。
「確かに役選びはとても難しいわ。それに加え私は性格的に何もかも分析しすぎてしまうほうなの。だから役を引き受けるかどうか決心するのは、本当にストレスがたまるの。どの役もいろんな可能性があることを想像しすぎてしまって……。ただ年齢を重ねるうちに、以前より役選びは簡単になってきたと思う。自分のやりたいことがはっきりしてきたからなの。また自分にとって何が大切かもわかってきたし。最近は視野が明確になってきたの」
──この映画はソーシャル・ネットワークの世界がテーマですが、あなたにとってこの世界はどんな意味をもっていますか。
「自分の考えやアイデアを人と共有したり、それについてコミュニケーションするための一つの手段ではないかしら。とても中毒性が高いから、私は自分の日課の一部にならないように努めている。自分と距離を置くことを心がけているの」
──ファンとの写真撮影を断ったりして、SNSと心がけて距離を置く一方で、あなたはウェブ上にブック・クラブのページを公開したり、そこでファンとの交流もしているようですが、どのあたりに公私の境界線を引いているのですか?
「私がネット上でファンとシェアする内容は、シェアしても自分がいつも通りの生活を送るのに支障をきたさない範囲内、というふうに決めている。プライバシーが守れる範囲内ならOKなの。私が気楽にスーパーマーケットや友達のバースデーパーティーや家族の集まりに行くとか、そういった日常生活の大きな妨げになることなのかどうか、その辺が判断の基準になる。現在の私は、はっきりとノーが言えるようになった。若い時は、それができなくて、何に対してもイエスとばかり言っていた。でも気が付いたの。自分の人生を生きたいように生きるためには、プライバシーを守る必要があると。だから今ではそれについて、真剣に対処しているわ」
──誰もがスマホで何もかも写真に撮る時代になりました。あなた自身いろんな人からカメラを向けられてきたと思いますが、どう対処していますか?
「人はあまり深く考えずに写真を撮る。実は私もアフリカに行った時、目に映るものを写真に撮った。そしたら誰かに、写真を撮る前に撮っていいか尋ねるべきだと指摘されたの。そこで気が付いたの。私の写真を撮る人に、まず撮っていいか尋ねてほしいと感じている。なのに外国に行ったら私自身が、それと同じことを気が付かないうちにやっていたのよ。写真を撮るのがあまりにも簡単で、誰もがやっていることだから、公私の境界線に気が付かず、マナーを無視してしまうことが多い。テクノロジーとともに育った世代というのは、その境界線を知らずに育ってしまった。間違いを犯すことで、私たちは何かを学べればと思うわ」
──あなたの演じるメイは勤勉で努力家ですが、自分と共通点があると思いますか?
「いくつかあると思う。新しい環境に入って、その環境を知ろうと努力する面とか。ブラウン大学に入学した頃、新環境に置かれた私は、どうやって周囲に溶け込んでいいかわからずいろいろ努力した。その点に共通点を感じる。また人に好かれたいという願望があるあたりにも。20代初期の頃、私はあんな感じだった。人が自分のことをどう思うかすごく気になって、皆に好かれたい、人を喜ばせたいと思った。それをあまりに気にしすぎたがために、本当の自分を見失った。そんな一面も自分に共通していると思う」
──映画「ザ・サークル」の原作者であるデイヴ・エガーズ氏の本は読みましたか?
「『驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記』は読みました。私が読んだ本の中でも最高傑作に入る一冊で、すごく気に入った」
──今回の作品での大先輩トム・ハンクスとの初共演はいかがでしたか。どんなことを学びましたか。
「彼とはいろんな話をしたわ。なにしろ業界での経験が長いから、いろんな経験談が彼の口から聞けて勉強になった。俳優というのはとても難しい立場に立っている。自分ではどうにもならないことが多い。例えば脚本について意見が言えないし、編集に関わることもできず、撮影された自分の演技の中から好きな演技が選べるわけでもない。そんな環境の中でトムは俳優としての自分を望み通りに築き上げてきた。プロデュースも監督もする。彼は人の意見をオープンに聞き入れる姿勢を持っていると同時に、自分のやりたいことも明確で、それが自分にできると信じている。彼は自分らしさを持っていて、そんな自分らしいトムと一緒にいると、私も私らしい自分になれたの。一緒にいるだけで、自分の中から力が湧いてきたの」
──将来的にはあなたもプロデュースや監督をやってみたいですか?
「ええ、ぜひともやってみたいわ」
エマ・ワトソン「好きな日本人作家は村上春樹、カズオ・イシグロよ」 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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